halloween



        

        


ハロウィン





「あぁのクソ皇子が、次ぎ会ったら絶対目にものを見せてやるぜ・・・」
仕事からの帰り、ぼやきながら入った自室。誰もいないはずの部屋に何かがいる気がする。
(危険は全然感じねーなー)
面倒ではあるが、何かあった時に困る上に何となく見当のついている何かが何かしそうなので、とりあえず着替える前に確かめておくことにした。
気配の在り処を探るとどうやらベットの上にいるようだ。
近づいて寝台の天蓋のカーテンを開け中を覗くと小さな山が出来上がっていた。その正体は、敷き布やら上掛けやらをかき集めて作られた鳥の巣に類似した物体である。真ん中には、今年十三歳になった一番下の弟が丸くなって寝ている。
(何をやらかしてるんだ、このガキは)
呆れながら近づく。今日も何時もの様に膝丈の白いソックスに黒い膝上丈のパンツ、カメオのついた長袖立て襟の白ネルシャツ。それに其の華奢な身体を包んでいる。
(寒そうだな・・・・ん?)
何か背中に黒い大きい布をくっつけている。起こそうと屈んだが其の背中を凝視していると先に相手が寝返りを打って此方を向き目を開けた。
「兄様、お帰りなさい」
「只今・・・私のベットの上で背中に布つけて何をしているのかい?」
どれだけ他で口が悪かろうが性格が悪かろうがこの弟の前では隠すことにしている。
何故なら全く純粋培養の無菌室で育てた疑う事を知らない子供だから。
つまりは、滅茶苦茶可愛がっているということである。
相手は、下を向いてちょっと恥ずかしそうにした後
「あのね・・・Trick or Treat !!」
とこっちを見て呟いた。
「一回やってみたかったの。びっくりさせたら兄様の眉間の皺もちょっとは薄くなるかとも思って」
そう言って笑った口元には何時もよりちょっと長くなった八重歯が見えている。
(なるほど、吸血鬼の真似だったのか)
「兄様、どっち?あのね、お菓子はいらないから今度の休日お相手して?」
最近殆ど休日が無く構ってもらえなかったのが余程つまらなかったらしい。
「悪戯だとどうなるんだ?」
面白半分笑いながら聞いてみると癇に障ったらしく頬を膨らませている。
「もう。試させてあげるよ」
そういって首筋にその飴でコーティングされた牙で噛み付いた。
「あ、痕がついちゃった。ごめんなさい、ちょっと痛い位だと思ったのに・・・」
相手はそう言って済まなそうな顔をする。
しかし、こちらはそんなことを気にしている訳ではない。最近、忙しかったということはあちらもご無沙汰だったわけで。更に、滅多にしない我侭と痕を同時に見せられると。
我慢が効くわけも無い。
「悪いが、悪戯されるのはお前の方だな」
「えっ・・・あっ・・んっ」
そう呟いてそのまま抱き寄せて寝台に押し倒した。
ついでに開けたカーテンを閉め直す事も忘れない。
貪りきったキスに息も絶え絶えな弟に対して呟いた言葉は
「何時もよりキスが甘いな」
だった。







どうやら、甘いお菓子を貰ったのは、子供でなく大人の方だったらしい。
こうして、夜は更けていき次の日にはご機嫌でなく不機嫌な子供がお菓子を抱える代わりに最愛の兄に抱えられて眼を覚ます。
***



(end)
2005/10/31







          










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