音楽劇




音楽劇

 

                

 

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頬を撫でる風の感触で目が覚めた。
  耳をすませば、カーテンのはためく微かな音がする。
なんとない違和感に閉じたがる瞳を無理矢理こじ開けて窓の方を向くと、人影が見えた。
「いい加減に起きるといい。お前は初日から遅刻するつもりなのか」
掛けられた声に、朦朧としていた意識が一瞬で覚醒する。
「に・・い、さん・・・・・」
瞳を瞬かせて、影をよく見ると、既に支度を整え終わった兄が立っていた。
制服のネクタイの色が蘇芳に変わっていることに気づく。最終学年の色だ。
「お早う、もう行くの?」
「お前も、蓮宮 リェンキュウに遅れたくなければ、早く寝台 ベットから出て支度するんだな。まあ、もっとも遅刻を気にかけてはいないようだが」
そう言って今一度、紫黒の視線を窓の外に投げかけてゆったりとした足取りで僕の部屋を出て行った。
約一ヶ月ぶりに姿を見て、言葉を交わした。
元々、無口で感情表現の希薄な人ではあったけれど、最近では頓に其の傾向が強くなり、更には家にも寄り付かなくなっていた。
「僕が傍に居るのが嫌になっちゃったのかな」
それとも、今までもそうだったのに嫌われているという事実に 僕が気づかなかっただけだろうなのだろうか。
全く血の繋がらない僕ら家族は、家族意識がとても希薄だから。
此処では、血が繋がっていないということは特別なことじゃない。
人口管理の為に人工授精出産になっているから。
ただ、多くの人は自分に血縁のある子供を求める。
しかしながら、僕らの両親はそんな事全く気にかけていなかった。
彼らは、三年程前から何処かに行ったっきりだ。
雪と言う水が凍った結晶が落ちてくる、とても綺麗で静かな場所だと言う。
一度訪ねる様に誘われていたが、まだ一度も行った事は無かった。
そんなことをつらつら考えながら、兄の後姿を追いかけていた視線を 時計に向かわせると辰牙 チェンヤーとの待ち合わせの時間が迫っていた。
ちゃんと決めた訳では無いけれど、暗黙の了解と言うものだ。
急いで身体に掛けていた薄布 ヴェイルをどけ、寝台 ベットから降りた。


続く・・・・
2005/10/10







          

















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